日本の国宝|甲冑(鎧)特集 - 大鎧・胴丸など

国宝特集S3-甲冑(鎧)特集(国宝大鎧・胴丸)

甲冑(鎧)は国宝の工芸品に分類され、大鎧(鎧)、胴丸に籠手をあわせて19領が国宝に指定されている。

日本の甲冑(鎧)はそれまでの大陸の影響の強い甲冑から、武士の出現とその騎射(きしゃ:騎上(馬の上)から弓で矢を射る)戦に適応し平安 - 鎌倉時代に日本独自の大鎧(おおよろい)と、歩兵の着用する腹巻(胴丸、腹当)いう形式に発展する。

戦国時代には西洋の様式を取り入れられ、虚飾を加えた当世具足という形式のものとなるが、国宝指定の甲冑は大鎧、胴丸に分類されるものである。

大鎧(鎧)も胴丸なども革や鉄に漆を塗った短冊状の小片「札板(さねいた)、小札(こざね)」を、絹や木綿などできた組紐でつなぎ(これを「威す(おどす)」という)形成されている。
鎧の名称が「赤糸(絲)縅(あかいとおどし)」であれば「赤い組紐等で小札を威してある」ことが分かる。

甲冑(鎧)の分類と特徴


画像「国宝:菊金物赤糸威大鎧(櫛引八幡宮:青森)」

大鎧(鎧)

大鎧(鎧)は、主に騎乗の上級武士が着用したもので、騎射戦を行うため盾をもたないかわりに袖(大袖)が付く。
その重厚さから、徐々に歩兵の着用した胴丸(腹巻)が上級武士にも着用されるようになるが、大鎧は胴丸のように腰部分が丸く絞られていないのが特徴で、馬の上では鎧の重量は鞍にかかって安定する。



画像「国宝:黒韋威胴丸(厳島神社:広島)」

胴丸

胴丸はもともと徒歩武士が使用したもののため足が動かしやすく作られている。
下半身を防護する草摺(くさずり)が8枚に分かれ、前後左右4枚に分かれる大鎧と簡単に区別できるほか、本来は両肩から上腕部を護る楯状の防具である袖(大袖)はなかった(のちに馬上の上級武士も大鎧より軽微な胴丸を着用するようになると胴丸に大袖・兜を付けて着用するようになっていった。)



画像「朱漆塗紺糸縅桶側二枚胴具足(彦根城博物館蔵:滋賀)」

当世具足

「当世」は「今様」という意味で、戦国時代にそれまでの鎧に対し新しい鎧という意味で使われるようになった。
胴丸の特徴を踏襲しつつ、全身を隙間なく覆うため、面頬(めんぼお)・籠手(こて)・脛(すね)当てなどの小具足をするようになり、それまでの小札に比べ鉄製の大型のものが使われるようになったほか、大面積の鉄板を使ったものなど、鉄砲が普及してきた当時の戦法の変化に適応するものへと変化した。
また、西洋の甲冑を改良した南蛮具足などのほか、兜にもさまざまな形式が生じ、前立ても文字や家紋などの装飾を持ったものも多く、当世具足は多種多様な形式をもつ。


国宝の甲冑(大鎧・胴丸など)

菊金物赤糸威大鎧(きくかなものあかいとおどしおおよろい)
 /青森:櫛引八幡宮
白糸妻取威大鎧(しろいとおどしつまどりよろい)
 /青森:櫛引八幡宮
赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい)
 /東京:武蔵御嶽神社
小桜韋威鎧(こざくらかわおどしよろい)
 /山梨:菅田天神社
赤糸威大鎧(梅鶯飾:うめうぐいすかざり)
 /奈良:春日大社
赤糸威大鎧(竹虎雀飾:たけとらすずめかざり)
 /奈良:春日大社
黒韋威矢筈札胴丸胴丸(くろかわおどしやはずざねどうまる)
 /奈良:春日大社
黒韋威胴丸(くろかわおどしどうまる)
 /奈良:春日大社
小桜韋黄返威鎧(こざくらがわきかえしおどしよろい)
 /広島:厳島神社
紺糸威鎧(こんいとおどしよろい)
 /広島:厳島神社
浅黄綾威鎧(あさぎあやおどしよろい)
 /広島:厳島神社
黒韋威胴丸(くろかわおどしどうまる)
 /広島:厳島神社
沢瀉縅大鎧(おもだかおどしよろい)
 /愛媛:大山祇神社
紺糸威大鎧(こんいとおどしおおよろい)
 /愛媛:大山祇神社
紫綾威大鎧(むらさきあやおどしおおよろい)
 /愛媛:大山祇神社
赤糸威胴丸鎧(あかいとおどしどうまるよろい)
 /愛媛:大山祇神社

その他著名な当世具足など

黒漆五枚胴具足(こくしつごまいどうぐそく)
 /伊達政宗所用(重要文化財):仙台市博物館蔵
南蛮胴具足(なんばんどうぐそく)
 /徳川家康所用(重要文化財):紀州東照宮蔵
伊予札黒糸威胴丸具足(いよざね くろいとおどし どうまる ぐそく)(歯朶具足)
 /徳川家康所用(重要文化財):久能山東照宮博物館蔵
金溜塗二枚胴具足(きんためぬり にまいどう ぐそく)
 /徳川家康所用(重要文化財):久能山東照宮博物館蔵
朱漆塗紺糸縅桶側二枚胴具足
 (しゅうるしぬりこんいとおどしおけがわにまいどうぐそく)

 /井伊直政所用:彦根城博物館蔵

国宝甲冑(大鎧・胴丸等)の展示

国宝の展示については、その保存の観点から常設展示できないものも多く(注)、博物館の企画展などの特別展示の際や、所蔵する寺院などでの期間限定の展示の際にしか見られないものも多いので、国宝級の甲冑が見られるのは非常に貴重な機会といえる。

東京国立博物館
特別展「春日大社 千年の至宝」2017/1/17-3/12:国宝 赤糸威大鎧他 国宝4領の甲冑がそろい踏み
(終了)

春日大社 国宝殿
「開館記念特別展Ⅲ 究極の鎧に出会う」2017/4/2-8/27:春日大社所蔵の国宝甲冑4領、奈良県立美術館の甲冑コレクション等





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